今年の72候では、きょうから8月1日までの五日間を、「土潤いて溽し暑し(つちうるおいて むしあつし)」 候としている。
 「“ベタ~ッ” と熱気が身体にまとわりつく蒸し暑い頃」 と言う意味だろう。
 こんな不快な時季にあってこそ、風鈴、うちわ、打ち水、金魚鉢など、夏の風物が存在感を放ち、“日本の夏” を実感する。

 “日本の夏” と言えば、“酒好き” の拙僧にとっては “冷酒” は欠かせない。
 と言っても拙僧の場合は夏に限らず、“通年” のことではあるが・・・。

冷蔵庫
【 “通年” のことではあるが・・・。 】

 で、この時季の冷酒に合う “肴の話” である。
 夏は夏で冷酒に合う美味い物は沢山あるが、“脂のノリの時季” だけでなく、 “耐暑” という意味からも “うなぎ目(もく)” の魚が良い。
 “土用の丑” の日に鰻を食す習慣は余りにも有名だが、鰻は高価すぎて度々食せるものでは無い。
 それに拙僧のような年齢になると、少々、脂のくどさが・・・。
 そこで拙僧がお薦めするのが、「穴子」 と 「鱧(はも)」 である。
 淡白な御味でありながら、栄養価は鰻と比べてもなんら遜色無い。

 鱧落しに梅肉をつけて・・・。
 蒲焼も良い。
 刺身が最も良いのだが、これには特別な技法が必要なのであまり一般的ではない。

鱧づくし-1
【 鱧づくし。 関西の夏の魚と言えば、鱧ですね。】

 穴子は関西の “焼き” も、関東の “煮” も良い。
 焼きも、煮も、そのまま食しても良いが、酢飯に合わせても良い。

焼穴子
穴子
【 何れも関東風です。 】

 「“ベタ~ッ” と熱気が身体にまとわりつく蒸し暑い頃」。 
 打ち水を済ませたお店に入り、うちわ片手に冷酒をいただく。 
 もちろん肴は 「穴子」 か 「はも」。 


 ときどき軒下に吊るした、 
 風鈴が・・・。