かれこれ一か月ほど前のことだが、同級生の A君 と二人で呑んだ。
 A 君とは中学に入学してスグにビートルズとストーンズの話で意気投合し、それ以来、現在まで仲良く付き合わせて貰っている。
 彼と拙僧の関係が長続きしている理由はたった二つの “共通点” だ。
 先ず一つは “お互い酒が好き” ということ。
 そして二つ目は “お互いブリティッシュ・ロックが好き” ということ。
 たったこの二つの “共通点” だけで酒がすすみ、話が盛り上がり、五十数年間に及ぶ良好な人間関係が続いている。

 それで一か月ほど前の酒会の話に戻すが、そのとき拙僧は “ブリティッシュ・ロック” とは真逆の世界?の話である映画 「忠臣蔵」 の話を切り出した。

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【 どうですか? そうそうたるキャストでしょ! 懐かしいねぇ・・・。(角川書店版) 】

 “映画 「忠臣蔵」” と言っても幾つか(たくさん)の作品があるが、拙僧が言ったのは1958年の大映作品で、監督に渡辺邦男、製作に永田雅一があたり、主人公の大石内蔵助を長谷川一夫が演じている。
 キャストには、長谷川一夫以外に市川雷蔵 、滝沢修、勝新太郎、鶴田浩二、京マチ子、山本富士子、木暮実千代、淡島千景、若尾文子などが名を連ね、キャストもさることながら映画の出来栄えそのものが 、「忠臣蔵映画の中でも最高傑作」 と評されている作品(現在でもDVD:角川書店版が 2,000 円前後で販売されている)である。

 拙僧が話を切りだすとスグに A君 が話に飛びついてきた。
 日本映画、しかも昔の映画などは A君 は “毛嫌い” しているものとばかり思っていた拙僧には意外だった
 しかも意外や意外、今から(呑みながら)その忠臣蔵を観たいと言い出したのだ。
 拙僧はDVDをセットし、164分間の長編を一緒に観出す。
 その間に A君 は、昔の日本映画の良さを熱く語り続ける。
 そして拙僧も同様に。

 その内に拙僧は、 A君 からあることを頼まれた。
 「俺は中村錦之助の “関の野太ッペ” を観たい。探して買っておいてくれ!」
 もはや “依頼” ではなく “命令” に近い。
 『ははっ、承知仕ってござる。しばしのお時間を下され』 と茶化しておいたが・・・。
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【 中村錦之助(後の萬屋錦之助)の “関の野太ッペ” の一場面(DVDをキャプチャー) 】

 届いた!発注しておいたDVD(関の野太ッペ)が昨日届いた。 
 さっそく昨夜、拙僧一人で観たが、 
 良いね! 昔の日本映画には人情が散りばめられていて・・・。 

 やっと A君 との “三つ目” の共通点が見つかった。 
 出会い以来53年目にして。