当地だけの呼び名だと思っていたが・・・。
 “おしょろさま(御精霊様)” という呼び名は結構全国区のものらしい。
 元々は九州南部の言葉らしいが、調べてみると東海・北陸・関東などでも使われているようだ。
 ただしそれら(当地以外)の地方では、お盆に帰ってくる “先祖の霊” のことを “おしょろさま” と言うのに対し、当地では、先祖が乗って来るといわれる精霊馬 (しょうりょううま) のことを“おしょろさま” と呼んでいる。
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 拙僧が子供の頃は、キュウリの馬とナスの牛を作って仏前に飾り、4日間の盆行事を行った。
 盆行事が終わる4日目(8/16日)の朝に川に流して送っていた為に、いつの頃からか環境に配慮して?紙に印刷した精霊馬を飾るようになってしまった。
 川に流すのを止めれば良かっただけのことなのに・・・、紙に・・・、 。゜(´Д`)゜。
 しかもその紙には、お盆で家に帰って来られたご先祖様たちに “ 早くあの世へ帰れ ” と言わんばかりに、お帰り用の 「 牛 」 だけが印刷されていて呆れてしまう。
 “御精霊様(精霊馬)” の意味も知らずにしたと思われる、当地婦人会の生活改善運動であった。
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【 今では紙に印刷したおしょろさま。しかも牛だけ? “生活改善” が聞いて呆れる。】

 くんに “ナスとキュウリで作った “おしょろさま” を教えてあげよう” と、バアバとカアカが立ち上がった。
 なるべく孫くんに作らせた為にかなり格好が悪いし、当地の伝統的スタイルであるモガリの鞍と猫じゃらしの尻尾が無いものの、昔とあまり変らないそれらしいものが出来上がった。
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【 孫くん(3歳)作 : キュウリの馬とナスの牛 】

 それにしても、ご先祖様があの世から帰って来られるときには “早く帰って来て欲しい” と、足の速い 「馬」 を用意し、
 あの世へ戻って行かれるときには “ゆっくりと、そしてお土産をたくさん持って戻ってもらおう” と、足が遅く、荷物をたくさん背負える力持ちの 「牛」 を用意するなんて・・・。
 昔の人たちの、ご先祖様を愛しむ心が見て取れて感動する。 (´Д⊂)

 当地ではナスとキュウリが紙に代わってしまい、
 馬と牛であるべきものが牛だけになってしまったが、
 本来は馬と牛であり、“なぜ馬と牛なのか” を、

 孫たちにはしっかりと、
 拙僧が教えておこうと思う。